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妙高山・火打山登山術

 山の達人

敷根 俊一(しきね しゅんいち)

昭和29年鹿児島県に生れる。
大学時代から山登りを始め、大学山岳部、社会人の山岳部に所属し、以来約25年間山を登りつづけている。
その山登りが高じて、平成4年に広島市役所を退職し、この魅力ある妙高山の麓でペンションを開業。
現在、ペンションを拠点に山と自然のガイドを仕事として行っている。

山と自然のガイド「モン・セルヴァン倶楽部ネイチャー」主催。

資格:日本ネイチャーゲーム協会指導員、日本赤十字社救急法救急員、アマチュア無線技師、1級造園施工管理技師。

 日本百名山「妙高山」「火打山」
 に関する雑記帖

妙高高原と赤倉温泉のシンボル、妙高山・火打山。人間が生まれる前から、悠然と頚城の大地を見下ろし、その歴史をつぶさに知っているであろうこれらの山々は、私達この地に住むものにあっては、永遠の父なる母なる存在であると思われます。
この素晴らしい山のことを是非皆様に知っていただきたく、ここで簡単に、妙高山、火打山について、登山も含めてワンポイント的に整理してみましょう。


日本百名山とは

山岳作家、深田久弥が昭和39年に書いた日本百名山に由来します。
深田久弥が日本全国を歩き、自分の気に入った山を百箇所選んだものです。
高さだけではなく、姿、形、歴史的、自然的な重要さなどいろいろな面を考慮し選択されています。
今、この百名山ブームで中高年の皆さんが百名山完登を目指して全国を飛び回っています。


妙高山は3,000m級の山だった?

妙高山は、大昔より何回も噴火を繰り返してきた火山です。
妙高火山研究の第一人者、早津建治先生によると、現在の形になったのは約4200年前ということです。
最後の大噴火で現在の中央部の溶岩ドームができあがりました。
その大噴火の前までは、外輪山の中に大きな湖があったそうです。外輪山の斜面を上に繋げてみると、約3000m級の山になります。富士山に匹敵していたかもしれませんね。


火打山は、日本列島の誕生を知っている

日本列島は、その生成期に東と西に分裂されました。
その証拠が糸魚川から静岡まで伸びる大断層フォッサマグナです。分裂するとき、東西の両側が大きく隆起しました。
その隆起の結果、西には北アルプスの山々が、東には火打山を中心とする頚城山塊ができあがりました。
火打山は、日本列島の劇的な瞬間を知っているわけです。


火打山はフォッサマグナ以東では一番高い山

火打山は、大断層生成期の隆起によってできましたが、その結果、東では一番高い山となりました。
富士山はフォッサマグナより西になります。


火打山は高山植物の宝庫

高山植物は、何万年も前からその場に生えていたものです。
このような隆起の結果、火打山には何万年前から生えている可憐な高山植物がそのまま残りました。
反対に火山の妙高山の高山植物は貧弱です。
火打山は日本でも有数の高山植物の宝庫です。


野尻瑚原人は妙高山に登っていた

ナウマンゾウで有名な野尻湖。
そこには、野尻瑚原人が居たといわれます。野尻瑚原人は、ナウマンゾウやオオジカを追って頚城平野を闊歩していたことでしょう。
妙高火山研究所の小島正巳先生は原人が妙高山に登った証拠を調査しています。中腹で打製の斧などが見つかっています。


比叡山延暦寺もびっくり、関山大権現

妙高山のふもとにある関山神社は、平安時代以降、関山大権現として比叡山延暦寺のような大きな勢力と大きさを誇った寺でした。
その御神体である妙高山は大昔から信仰のために登られ、頂上付近には、その痕跡がたくさん残っています。


笹ヶ峰は日本のアルピニズム発祥の地

大正8年、当時の日本山岳界の精鋭で慶応大学山岳部の大島亮吉が小谷温泉よりスキーで笹ヶ峰に来て、火打山とその周辺の素晴らしさを山岳誌に発表して以来、笹ヶ峰と火打山は東京六大学の山岳部や社会人山岳会の山スキーと冬山訓練のメッカとなりました。
京都大学学士山岳会の今西錦司や西堀栄三郎、桑原武雄など日本の学問と登山の先駆者達はここで訓練しマナスルに登りました。
昭和3年に建てられた京大ヒュッテで、「雪山賛歌」が作られたと言われています。
ちなみに、高谷池ヒュッテは、当初昭和5年に建造されました。


 登山のワンポイントアドバイス

登山は登る前から始まっている

最近、中高年の方々の登山ブームで、火打山、妙高山の登山者も年々増加しています。
しかしながら、人に連れられてきて、自分が今、山のどの部分を登っているのかわからない人がけっこう多いようです。

登山は、計画段階から地図を調べ、ルートを調べ、その山について調べることから始まっています。
そうすることによって、山登りを何倍にも楽しくすることができ、安全にすることができます。

地図とコンパスは登山の基本

上と同じように、最近の方々は地図やコンパスを持ってきていない人が多いのが現実です。
地図とコンパスは登山の原則です。
地図がないのにどうして初めての山に登れるのでしょうか。
自分の位置を確かめるにはコンパスも必携です。道に迷ったらどうするのでしょうか。
人に連れていってもらっても山は基本的には自分で登るものです。


道に迷ったら最初の位置に帰れ

道に迷ったら、どんなに大変でも地図で確かめることのできる最初の位置まで帰ることが原則です。
もとの場所に帰って、もう一度調べると迷ったところがわかるものです。
戻るのが大変で下ろうと思っても、けっして谷には下りないように。尾根に上るのが基本です。


登山は天気との戦い

登山は天気との戦いです。
同じ山でも、どんな低い山でも天気の違いで大幅な変化があります。天気と天気図を理解すること。
これが登山の基本の一つです。
事前に天気の変化を知っていると遭難を防げます。天気予報を1週間前から見て、天気の変化を理解しましょう。


風のない日は雷が危ない

どんなに晴れていても、夏の日風がなく、ムーっとする日は午後の早い時期から必ず雷があります。
そんな日は、早め早めに行動して、最悪の場合は、途中から引き返しましょう。


頂上には12時までに登ること

晴れていても、天気の変化は午後から起こります。
特に雷や夕立は暑さのこもった午後に、上昇気流が原因で起こります。避難する場所のない、頂上は一番危ないところです。てっぺんには、遅くとも12時までには登りましょう。
ということは、出発時間は逆算して出すことができます。


雷がなったらハイマツの中に隠れろ

雷は、岩でも木でも周りより突起したところに落ちます。
ということは、稜線上で人間より高いものがない場合は当然人間に落ちます。雷が真上でなり始めたらとにかく周りの物より体を低くしましょう。
ハイマツの中に隠れろとは体を低くしろということです。


歩くときは小刻みにゆっくりと

山に登るときは、歩幅を小さくして少しずつゆっくりと登ることが疲れないこつ。下
りも同じです。

大げさな歩き方、身振りはエネルギーを失うもとです。
余裕を持って登らないと最後になるほど険しいのですから。


落石はしない、させない、受けない。

登るとき一番怖いのが落石による事故です。
落石はどんなに小さな物でも絶対にしてはいけません。

もし落石が起こったら大きな声で下の人に知らせてください。

水は2リットルは必要

夏は登山中、約1.8リットルの汗をかくとい言われています。
脱水状態にならないように、最低でも2リットルの水を持って登りましょう。


糖分は元気の元

甘いものを一つは持っていきましょう。
糖分はエネルギーのもとです。糖分を摂っただけで遭難から救われるときがあります。


弁当を忘れてもカッパは忘れるな

登山の装備で一番大事なものはカッパです。
それもゴアテックの通気のあるものでないと役にたちません。このカッパ一つで雨だけではなくて体を保温することができます。
遭難しても寒さから体を守ってくれます。
カッパだけは他の装備よりもまずよいものを揃えましょう。
そして、弁当を忘れてもカッパだけは忘れずに。


山の服装は下着から

最近登山の衣類も大変進歩してきましたが、山に登るときの服装の基本は、いかに体を保温するかということです。
夏山の場合でも頂上に登ればけっこう寒いものです。
寒暖の差が大きいとエネルギーをうばってしまいます。
したがって、下着に気をつけてください。夏の場合は速乾性のあるポリエステル系の下着が良いと思います。
冬はウール系の下着が必要です。
ウールは汗をかいても体を保温してくれます。
綿など下着を着ていると、冬のアルプスなどでは、汗をかくと中から凍ってしまうことがあります。


傘はあったら便利

カッパがあれば十分なのですが、折りたたみがさを一つ忍ばせておくと便利です。
例えば、山小屋やテント場についてからの行動や下山してから林道を歩くときなど、カッパは蒸し暑くわずらわしいものです。
そいうときに傘があれば便利です。


6月と11月の山は冬山

2000m級以上の山は、6月にはまだたっぷり雪が残っており、また10月の末になると雪が降ってきて11月には相当の雪が積もっています。
下界が夏や秋でも山はまだ、あるいはもう冬です。
積雪のある山はシロウトでは登れません。


遭難は110番

もし、遭難が起こったときは、携帯電話で110番に電話してください。
ほとんどの山岳地域では、遭難対策協議会を作っていますが、警察が窓口になっている場合がほとんどです。
消防が窓口でも警察からつながりますのでまずは110番。最後に登山届は忘れずに。


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